応募が来ないのは求人票だけの問題でしょうか

経営者と求人票を確認しながら、現場社員の仕事の話を聞く

私は採用について相談を受けるたびに、「応募が来ないのは、求人票の書き方だけが原因なのだろうか」と考えます。

給与や休日、勤務地は、もちろん重要です。仕事内容を分かりやすく書くことも欠かせません。ただ、条件を整えて求人を出しても、その会社でどのように働くのかが見えなければ、求職者は応募を決めにくいのではないでしょうか。

2026年3月に発表されたマイナビの調査では、回答企業の91.1%が中途採用に積極的な意向を示しています。経験者採用に積極的な企業も74.2%に上りました。人を採用したい会社が、それだけ多いということです。

求職者が急に増えるわけではありませんから、同じような経験を持つ人に、たくさんの会社が声をかけることになります。求人を出せば誰かに見つけてもらえる、という状況ではなくなってきています。

求人票を見た人は、次に何を見るのでしょうか

気になる求人を見つけた人は、会社名を検索します。そして、会社のWebサイトや採用ページを見ながら、「どのような会社なのだろう」「自分にもできる仕事だろうか」と考えます。

ところが、会社のWebサイトを開いても、製品やサービスの説明ばかりで、働く人の姿がほとんど見えないことがあります。

採用情報のページには、求人票と同じ募集要項だけが載っている。社員の写真はあっても、全員がカメラを向いて並んでいるだけ。仕事内容には「営業業務全般」「製造業務および付随する作業」と書かれている。これでは、間違ったことは書いていなくても、入社後の自分を想像するのは難しいと思います。

私が採用ページを見ながら、「この仕事は、実際にはどのような一日になるのですか」と尋ねると、そこから具体的な話が出てきます。

朝はメールの確認から始まる。午前中はお客様を訪問する。最初の半年ほどは先輩と一緒に動く。担当を持ったあとも、難しい案件は社内で相談する。社内では説明するまでもない日常ですが、求職者が知りたいのは、まさにこうした情報です。

条件は比べられても、会社の中までは比べられません

給与や年間休日などの条件は、数字で比較できます。大企業と同じ条件を用意することが難しい中小企業もあります。条件だけを並べた採用では、どうしても規模の大きな会社が有利になりやすいでしょう。だからといって、条件以外の魅力を立派な言葉で飾ればよいわけではありません。

「風通しのよい職場です」「社員を大切にしています」「やりがいのある仕事です」、どれもよく見かける言葉ですが、本当のところは入社してみなければ分からない、と受け取られてしまうこともあります。

風通しがよいのであれば、社員の意見が実際に仕事へ反映された話を聞いてみる。社員を大切にしているのであれば、困ったときにどのような支えがあるのかを確かめる。やりがいがあるのであれば、どのような場面でお客様から喜ばれたのかを伝える。

抽象的な言葉を、会社の中で実際に起きたことへ置き換えます。

これは、大企業より中小企業のほうが伝えやすい部分でもあります。経営者と社員の距離や、一人が仕事に関われる範囲、お客様との関係など、その会社でなければ得られない経験があるからです。

良く見せるより、分からないことを減らしたいと思います

求職者へ会社の魅力を伝えるというと、良いところをできるだけ多く見せることだと思われがちです。私は、少し違うと考えています。採用広報の役割は、会社を必要以上に良く見せることではなく、求職者にとって分からないことを減らすことです。

仕事の面白さだけでなく、難しさも伝える。働きやすさだけでなく、忙しい時期についても触れる。入社後すぐに活躍できるような書き方ではなく、どのように仕事を覚えていくのかを見せる。事前に知っておけば納得できることも、知らずに入社すれば「聞いていなかった」という不満になります。

2026年に公表された雇用のマッチングに関するレポートでも、求職者の約6割が、実際の職場と事前に得ていた情報との間にギャップを感じたという調査結果が紹介されています。応募者を増やすことだけでなく、入社後の行き違いを減らすことも、採用情報を整える理由です。

社員に聞かなければ、見つからないことがあります

採用ページをつくる前に、経営者や採用担当者だけで会社の魅力を考えることがあります。しかし、実際に働いている社員へ話を聞くと、会社側が予想していなかった答えが返ってくることがあります。

入社前は何が不安だったのか。なぜこの会社を選んだのか。入ってみて、意外だったことは何か。仕事を続けている理由は何か。

「休みを相談しやすかった」「思っていたより自分で判断できた」「先輩が一緒にお客様へ謝りに行ってくれた」。こうした話は、求人票の募集要項からは出てきません。しかし、経験上、実に重要な要素・内容であることがほとんどです。

経営者が考える会社の魅力と、社員が感じている魅力は、同じとは限りません。その違いを知ることも、採用広報では重要だと思っています。

求人票を書き直す前に、一度見てほしいものがあります

応募が来ないと、求人票の言葉を変えたり、別の求人媒体へ移したりしたくなります。それも必要な対策かもしれませんが、その前に、自社で働く姿が外から見える状態になっているかを確かめてみてください。

仕事内容、働く人、仕事を覚えるまでの流れ、会社が大切にしていること。求職者が知りたい情報は載っているでしょうか。

会社の中には答えがあっても、それがまだ言葉や写真になっていないことがあります。

何を載せればよいのか分からないときは、求人票だけを眺め続けるより、実際に働いている人へ話を聞くところから始めたほうがよいかもしれません。私は、その話を聞き、会社の中にあるものを整理して、求職者に届く言葉や写真、Webサイトへつなげていきます。

応募が来ない理由を一つに決めつけることはできません。それでも、「会社のことが見えていない」という問題なら、伝え方を見直すことで変えられる余地があります。

参考資料

「何から直せばいいか

わからない」段階から、

ご相談ください。

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