私が求人票や採用サイトを見るときに思うことは、仕事内容や給与だけでなく、「この会社に入ったら、最初に何をするのだろう」です。
ところが、そこまで書かれている求人は、意外と多くありません。会社の歴史や事業内容、求める人物像、福利厚生などは詳しく書いてあります。しかし、
「初日は誰が迎えてくれるのか」「最初の1週間は何をするのか」「仕事は誰から教わるのか」「どのくらいで一人前になるのか」
といった、入社直後のことになると、急にわからなくなります。
「未経験者歓迎」だけでは、安心できません
例えば仮に、「未経験者歓迎。先輩社員が丁寧に指導します」と書かれていたとします。採用する側にとっては、これで十分説明したつもりかもしれません。しかし、応募する側には、まだ分からないことがたくさんあります。
どの先輩が教えてくれるのか。最初は見学からなのか、すぐに実務に入るのか。分からないことを質問しやすい職場なのか。覚えるまで、どのくらい待ってもらえるのか。特に、専門的な仕事や、外から見ただけでは内容が分かりにくい仕事ほど、この不安は大きくなります。
仕事内容そのものが嫌なのではないと思います。ただ単に、自分にできるかどうかを判断する材料がないのです。
特別な制度より、普通の一日を書く
採用ページをつくるとなると、会社の強みや立派な制度を探そうとしがちです。もちろん、それも必要なのですが、求職者が本当に知りたいのは、もっと身近なことではないでしょうか。
「入社初日は、社内を案内したあと、先輩と一緒に取引先を回ります」
「最初の1か月は製品名を覚えながら、見積書の作成を手伝います」
「半年ほどは先輩社員に同行し、一人でお客様を担当することはありません」
こうした説明が少しあるだけで、入社後の姿はかなり想像しやすくなると思っています。派手な話ではありません。逆に地味といってもいいくらいの話です。しかし、こういう普通の一日こそ、その会社にしか書けない情報です。
会社に魅力がないのではありません
帝国データバンクの調査によりますと、2026年7月時点で、正社員の不足を感じている企業は51.3%。企業の半数以上が、人手不足を感じているそうです。
採用が難しい時代であることは間違いありません。ただ、「人がいないから仕方がない」で終わらせてしまうと、自社の求人の問題が見えなくなります。会社に魅力がないのではなく、入社後を想像できる材料が、まだ表に出ていないだけかもしれません。
その材料は、経営者の頭の中だけでなく、実際に働いている社員の話の中にあります。
入社したときに不安だったこと。最初に覚えた仕事。失敗したこと。助けてもらったこと。慣れるまでにかかった時間。こうした話を聞いて整理すると、求人票や採用ページに載せるべき内容が少しずつ見えてきます。
採用広報とは、会社を必要以上によく見せることではありません。社内では当たり前になっていることを、外の人にも分かるようにすることだと、私は考えています。
一度、自社の求人票を読み返してみてください。そこから、入社初日の姿が浮かぶでしょうか。
もし浮かばないようでしたら、まだ書けることが残っています。MRDでは、経営者や社員の皆さんからお話を聞きながら、求人票や採用ページに何を加えればよいか、一緒に整理しています。


