私は採用サイトのために社員の方へ取材をするとき、最初から立派な答えが返ってくるとは考えていません。
「仕事のやりがいは何ですか」
「職場の魅力を教えてください」
「今後の目標は何ですか」
こうした質問をすると、たいていは真面目で、きちんとした答えが返ってきます。
もちろん、それは悪いことではありません。ただ、その答えだけで社員紹介をまとめると、どこかで見たような内容になりがちです。
「チームワークのよい職場です」
「お客様から感謝されることがやりがいです」
「これからも知識を身につけて成長していきたいです」
間違ってはいません。しかし、会社名を入れ替えても成立してしまう文章では、その会社で働く人の姿までは、なかなか伝わりません。
聞きたいのは、順調な話だけではありません
求職者が社員紹介を読むのは、立派な社員を見たいからだけではないと思います。
「自分にもできそうか」
「入社したら、どこで苦労するのか」
「困ったときに助けてもらえるのか」
そんなことを知りたくて読んでいるはずです。
ところが、採用する側は、ついつい会社のよいところだけを見せようとします。その結果、社員紹介に登場する人は、最初から仕事ができて、失敗も迷いもなく、順調に成長してきた人のように見えてしまいます。
実際には、そんな人ばかりではないでしょう。仕事を覚えられずに焦ったこと。お客様の前でうまく話せなかったこと。分からないのに、質問できなかったこと。思っていた仕事との違いに戸惑ったこと。
そうした話の中にこそ、求職者が自分を重ねられる部分があります。
失敗談で終わらせない
だからといって、社員の失敗や会社の問題を、そのまま載せればよいわけではありません。大切なのは、そのあとです。
「先輩が一緒に原因を考えてくれた」
「同じ失敗をしないよう、手順書をつくった」
「3か月ほどして、ようやく仕事の流れが分かってきた」
つまずいた話と、そこからどう立て直したかを一緒に伝える。すると、その会社の教育の仕方や、人間関係、仕事への向き合い方が見えてきます。
「失敗しても大丈夫です」と書くより、実際に失敗した社員が、その後どうなったかを書くほうが、ずっと説得力があります。
少し聞き方を変えてみる
社員紹介をつくるときは、「会社の魅力は何ですか」と聞くだけでは、なかなか具体的な話が出てきません。
たとえば、
「入社して最初に困ったことは何でしたか」
「辞めたいと思ったことはありましたか」
「誰に、どんなふうに助けてもらいましたか」
「入社前に知っておきたかったことはありますか」
と聞いてみます。すぐに答えが出ないこともあります。しかし、少し話しているうちに、「そういえば、こんなことがありました」と、その人にしか話せない出来事が出てきます。私は、そこからが取材だと思っています。
完璧な会社に見せる必要はありません
求職者も、会社に何の問題もないとは思っていません。むしろ、よいことしか書かれていない採用サイトを見ると、「本当のところはどうなのだろう」と不安になることもあります。
会社を必要以上によく見せるより、仕事の難しさや入社後の戸惑いも含めて伝える。そのうえで、どのように仕事を覚え、周囲がどう支えているのかを見せる。そのほうが、入社後の姿を想像しやすくなります。
社員紹介は、立派な社員を並べるためのページではありません。その会社で、普通の人がどのように働き、少しずつ仕事を覚えてきたのかを伝えるページです。
自社の社員紹介を読み返してみてください。きれいな話だけで終わっていないでしょうか。
MRDでは、用意された回答を書き写すのではなく、社員の皆さんと話しながら、その会社らしさが見える出来事を探します。社員紹介をつくりたいけれど、何を聞けばよいか分からない。そんな段階からでも、ご相談いただけます。


