私は会社案内をつくるとき、最初に「何を載せましょうか」とは聞きません。
先に聞くのは、「誰に渡すものですか」「どんな場面で使いますか」ということです。取引先への訪問時に渡すのか。展示会で配るのか。初めて会う人に会社を知ってもらうために使うのか。
同じ会社案内でも、使う場面が変われば、載せるべき内容も変わります。
会社案内の基本的な構成や、紙とWebの役割分担については、「会社案内には何を載せればよいのでしょうか」でも書いています。
情報を増やすほど、伝わりにくくなることがあります
会社案内には、沿革、事業内容、設備、製品、拠点、資格、社長挨拶など、さまざまな情報を載せることができます。ですから、「せっかくつくるのだから、できるだけ多く載せたい」と考えるのは自然なことです。
しかしながら、情報が増えるほど、読む人は迷いやすくなります。結局、この会社は何が得意なのか。自分の相談に応えてくれる会社なのか。どこを見ればよいのか。伝えたいことが多い会社ほど、最初に必要なのは追加ではなく、整理なのかもしれません。
会社の説明書ではなく、次の会話を生むもの
会社案内を読んで、すべてを理解してもらう必要はありません。重要なのは「この仕事について、もう少し聞いてみたい」「こういう相談もできるかもしれない」そう思ってもらうことではないかと私は考えています。それができれば、会社案内の役割は果たしています。
例えば、製品の一覧を並べるだけでなく、「どのような相談を受けてきたか」を紹介する。設備を列挙するだけでなく、「その設備を使って、何ができるのか」を伝える。社長の挨拶を長く載せるのではなく、会社を続けてきた理由を短い言葉で書く。
読む人が知りたいのは、会社の情報を暗記することではありません。自分の仕事と関係があるかどうかです。
何を載せるかより、何を削るか
会社案内の制作では、原稿や写真を集めることに目が向きがちです。もちろん、それも必要です。ただ、その前に「今回は載せないもの」を決めておくことも大切です。
すべての製品を載せるのではなく、まず知ってほしい分野に絞る。長い沿革をすべて紹介するのではなく、現在の仕事につながる出来事を残す。きれいな写真を並べるのではなく、その会社らしさが伝わる場面を選ぶ。
削る作業は、足りないものを補うより難しいことがあります。だからこそ、社内の人だけで決めると、どれも大事に思えてしまいます。
外から見た人がどこで迷うのか。どこを見れば、会社の特徴が分かるのか。その視点を入れることで、会社案内は「会社の記録」から「次の会話を生む道具」へ変わっていきます。
会社案内をつくり直すときは、まず掲載内容を増やす前に、一度すべて並べてみてください。そして、「初めて読む人に、最初に何を知ってほしいのか」を考えてみる。そこが決まると、必要な言葉や写真、デザインの方向も見えてきます。
MRDでは、会社の中にある情報をそのまま並べるのではなく、誰に何を伝えるのかを一緒に整理し、言葉・写真・デザイン・印刷物として形にしています。
会社案内をつくりたいけれど、何から決めればよいか分からない。そんな段階からでも、ご相談いただけます。


