最低賃金が上がるほど、求人票には給与以外の説明が必要になります

複数のパンフレットや資料を並べて比較している様子

求人票を見るとき、まず給与を確認するという人は多いのではないでしょうか。私もです。

仕事内容に興味があっても、生活に必要な収入を得られなければ応募はできません。給与は働く先を選ぶうえで最も基本的な条件の一つです。

2026年度の地域別最低賃金について、中央最低賃金審議会は東京都を含むAランクで54円引き上げる目安を示しました。目安どおりに全国で引き上げられた場合、全国加重平均は1,176円となります。東京都ではその後、時間額1,280円への改正が正式に決定されました。効力発生日は2026年10月1日です。

最低賃金が上がれば企業は当然、求人票の給与を見直す必要があります。ただ、数字を直すだけで十分かというと、そうではないと思います。

給与の差が小さくなると、別の違いをチェックされます

最低賃金の引き上げによって最低賃金に近い水準で募集している企業は求人の時給や月給を見直すことになります。すると、同じ地域・同じような職種の求人が似た給与水準で並ぶことになります。

時給1,280円の求人が一社だけなら、それ自体が目を引きます。しかし、近隣の求人がどこも同じくらいになれば給与だけでは違いが分かりません。そこで求職者が見るのは、

「実際には、どんな仕事をするのか」
「忙しい時間帯はいつなのか」
「誰が仕事を教えてくれるのか」
「休みの希望はどのくらい通るのか」
「長く働くと、給与や役割はどう変わるのか」

といった働き始めたあとのことです。最低賃金が上がるほど給与が重要でなくなるという話ではありません。給与はきちんと提示した上で、それだけでは伝わらない部分を説明する必要がある、ということです。

「働きやすい職場です」では、競合他社との違いがわかりません

求人票には「働きやすい職場です」「未経験でも安心です」「アットホームな雰囲気です」といった言葉がよく書かれています。悪い言葉ではありませんが、これだけでは、どの会社にも当てはまります。例えば…

「希望休は前月20日までに提出します」
「入社後1か月は、先輩社員と一緒に仕事をします」
「急な欠勤が出た場合は、店長が応援の調整をします」
「半年後を目安に、一人で担当を持ちます」

と書かれていれば働く場面を少し想像できます。制度の名前や耳当たりのよい言葉より、実際にどう運用されているか。その説明がある求人のほうが、求職者は判断しやすくなります。

「最低賃金より少し高い」だけでは、魅力的とは言えなくなります

最低賃金の引き上げは企業にとって簡単な話ではありません。人件費が増える中で、どこまで給与を上げられるか。既存社員との賃金差をどう整えるか。価格や仕事の進め方を見直す必要も出てきます。

それでも「最低賃金より少し高く設定しました」だけを採用上の強みにするのは難しくなります。次の改定で、その差がなくなる可能性があるからです。

一方で、その会社の仕事の進め方や教育の仕方・人間関係・勤務時間の融通・身につく技術は最低賃金が変わっても残ります。もちろん、実態が伴っていなければ書けません。

だからこそ求人票をつくる前に、自社で働く人が何を理由に続けているのか、どこに不満を感じているのかを確かめる必要があります。

求人票を、条件票ではなく「魅力PR票」にするには

最低賃金の改定に合わせて求人票の給与欄だけを直す企業は多いと思います。しかし、それは見直しの入口に立っただけに過ぎません。

仕事内容は具体的に書かれているか。入社後の流れが分かるか。勤務時間や休日の説明に曖昧なところはないか。昇給や手当の条件が伝わっているか。給与が似た求人の中から選ばれるには、求職者が「ここで働く自分」を想像できる材料が必要です。

一度、自社の求人票を給与欄を隠して読んでみてください。それでも、その会社で働く理由は伝わるでしょうか。働きたくなるでしょうか。

MRDでは給与条件だけでは見えにくい仕事の内容や職場の特徴を、経営者や社員の皆さんへの取材から整理し、求人票や採用ページに反映しています。

出典:

「何から直せばいいか

わからない」段階から、

ご相談ください。

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