AIから最も遠い仕事とは、何だろう

採用資料や写真、手書きメモを広げながら課題を整理している仕事机

生成AIが広がって、「AIに奪われる仕事」「AIに残る仕事」という話をよく見かけるようになりました。

文章を書く。画像をつくる。資料をまとめる。調べる。分析する。少し前まで人が時間をかけてやっていた仕事のかなりの部分を、AIが短時間でこなせるようになってきています。

では逆に、AIから最も遠い仕事とは何でしょう。介護でしょうか。建設でしょうか。料理人でしょうか。美容師でしょうか。

もちろん、身体を使う仕事はAIだけでは完結しにくいと思います。しかし、考えてみると、もう少し本質的な違いがあるようにも思います。

「作業」は、AIに近づいていく

AIが得意なのは、ある程度ゴールが決まっている仕事です。

文章を書いてください。この資料を要約してください。この写真を加工してください。このデータを分析してください。何をすればいいのかが明確なら、AIはかなり力を発揮します。

これは制作の仕事も同じです。

「会社案内をつくってほしい」「採用サイトをつくってほしい」「この文章を読みやすくしてほしい」。こうした仕事の中にある作業部分は、これからますますAIが担うようになっていくのだと思います。

デザイン会社だから大丈夫。Web制作会社だから残る。そう簡単な話ではないでしょう。むしろ制作業は、AIの影響をかなり直接受ける仕事の一つなのかも知れません。

AIが苦手なのは「そもそも何が問題なのか」を決めること

一方で、実際の仕事はそんなにきれいではありません。「採用がうまくいかないんです」と、こう相談されたとしても、原因が採用サイトとは限りません。

求人票かも知れません。給与条件かも知れません。会社の魅力が整理されていないのかも知れません。社員の写真がないことかも知れません。応募後の対応が遅いことかも知れません。もっと言えば、会社自身が何に困っているのか、まだうまく言葉にできていないこともあります。

ここでは、すぐに何かを作り始めることより先に、話を聞く。現場を見る。状況を整理する。問題を見つける。という仕事が必要になってきます。AIに答えを出してもらう前に、そもそも「何を問うべきか」を決めなければならない場面があります。この部分は、まだかなり人間の仕事として残っていくのではないかと思います。→ 採用サイト・求人票・採用パンフレットを、会社の良さが伝わる形に整えます。

現場には、データになっていない情報がある

会社に行って話をしていると、資料には書かれていないことがたくさん見えてきます。

社員同士の距離感。工場の雰囲気。受付での対応。社長が何度も口にする言葉。社員が少し言いにくそうに話すこと。そういうものが、実は会社の特徴だったり、問題の原因だったりすることがあります。AIは、渡された情報から考えることは得意です。

しかし、まだ情報になっていないものを拾うには、やはり現場を見る必要があるのだと思います。「何となくここが気になる」、そんな違和感から仕事が始まることもあります。

最後に残るのは、判断と責任かも知れません

さらに大きいのが、判断だと思います。AIはいくつもの案を出してくれます。しかし実際の仕事では、今回はこれをやる。これはやらない。この言葉を使う。この写真を使う。この順番で進める。と、誰かが決めなければなりません。そして、その判断が外れることもあります。

うまくいかなければ、もう一度考える。修正する。相手に説明する。そこまで含めて仕事なのだと思います。AIは提案してくれても、最終的な責任まで引き受けてくれるわけではありません。そう考えると、AIから遠いのは、単に手を使う仕事ではなく、現場を見て、判断して、その結果まで引き受ける仕事なのかも知れません。

「何を作る会社か」より、「何を引き受ける会社か」

これは制作会社にも当てはまります。ホームページを作る。パンフレットを作る。動画を作る。それだけなら、これからどんどんAIに近づいていくと思います。でも、

採用がうまくいかない。会社の魅力が伝わっていない。何を直せばいいのか分からない。そうした段階から話を聞き、必要なものを考える仕事なら、少し事情は変わってくるでしょう。場合によっては、ホームページを作らないという判断もあります。

求人票を直した方がいいかも知れません。写真を撮り直した方がいいかも知れません。会社説明資料を変えるだけでいいかも知れません。何を作るかを売るのではなく、何を解決するかを一緒に考える。これからは、そういう会社の方が力を発揮しやすくなるのではないかと思います。

AIから遠い仕事とは

AIを使わない仕事、という意味ではありません。むしろAIは、どんどん使っていけばいいと思います。

調査にも使う。文章にも使う。整理にも使う。制作にも使う。その上で、

現場を見る。人の話を聞く。まだ言葉になっていない問題を見つける。何をするか決める。最後まで付き合う。

そこに、人の仕事が残っていくのではないでしょうか。

AI時代に考えるべきなのは、「自分の仕事はAIに奪われるのか」ということだけではなく、「自分たちは、何を引き受ける会社なのか」ということなのかも知れません。

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