「人手不足倒産」と聞くと、求人を出しても応募がなく、人を確保できなかった会社を想像します。ところが、今回の数字を見ると、それだけではないようです。
東京商工リサーチによると、2026年度上半期の「人手不足」倒産は240件。前年同期より17.0%増え、調査開始以降で最多となりました。そのうち「人件費高騰」による倒産は130件。全体の54.1%を占めています。
人が集まらないだけではなく、人を雇い続けるための賃金を負担できない会社が増えているということです。なお、この「人手不足倒産」には、人を採用できないケースだけでなく、人件費の上昇に経営が耐えられなくなったケースも含まれています。単純に「働き手が足りない」という問題だけではないようです。
「人がいない」より、「雇い続けられない」
人手不足には、いくつかの状態があります。求人を出しても応募がない。採用しても辞退される。社員が退職し、仕事を回せなくなる。そして、賃上げしなければ人が残らない一方で、賃上げすれば資金繰りが苦しくなる。
今回の倒産で最も多かったのは、この「人件費高騰」でした。
資本金1,000万円未満の企業が159件と全体の66.2%を占めています。産業別では、サービス業と建設業で約6割。特に、人手への依存度が高い労働集約型の産業で倒産が目立っています。人を採れないことよりも、人を雇えるだけの利益を残せないことが問題になっている会社もあるのです。
採用広報が向く課題、向かない課題
採用サイトや会社案内、求人情報の見直しは、どの会社にも効くわけではありません。仕事の内容や職場の様子、待遇、入社後の姿が十分に伝わっていない。そのために応募先として選ばれていないのであれば、採用広報を改善する意味があります。
MRDが多摩地域の中小企業300社の採用情報を調べたところ、社員や職場の実像を確認できない企業は46.0%、キャリアについての説明がない企業は46.7%でした。経営上の問題とは別に、「会社や仕事の実態が十分に伝わっていない」という課題を抱える企業も少なくないと考えられます。
一方で、一人採用するほど利益が減ってしまう。既存社員の賃金を上げる余力がない。受注はあっても価格が低く、忙しいだけで利益が残らない。この状態では、採用情報をきれいに整えても根本的な解決にはなりません。採用できたとしても、経営をさらに圧迫する可能性があります。
採用広報で改善できる部分については、MRDでは採用サイト、求人票、パンフレットなどを個別に考えるのではなく、まず会社や仕事の魅力を整理するところからお手伝いしています。
→ MRDの採用支援について
「人を増やす」の前に確認したいこと
人手が足りないと感じたとき、すぐに求人を出す前に確認したいことがあります。
- 本当に仕事量が多いのか、それとも無駄な作業が多いのか
- 採用する一人分の人件費を、継続して負担できるのか
- 価格の見直しや業務の整理で、利益を残せないか
- 社内で続ける仕事と、外部へ任せる仕事を分けられないか
- どの仕事を任せるために、どのような人が必要なのか
ここが曖昧なままでは、求人票にも採用サイトにも具体的なことを書けません。「人が足りないから募集する」だけでは、会社が求める人にも、応募する人にも十分な説明にならないからです。
伝え方を直す前に、問題の整理を
制作会社は、採用サイトやパンフレットをつくることができますが、依頼されたものをそのままつくればよいとは考えていません。
応募が来ない原因が情報不足なら、伝え方を直す。仕事の価値が顧客に伝わらず価格へ反映できていないなら、営業資料やホームページを見直す。業務そのものに問題があるなら、制作物をつくる前に別の整理が必要です。何をつくるかより先に、何に困っているのかを見極める。
今回の「人手不足」倒産の数字は、採用だけを切り離して考えることの危うさを示しています。人を採れば何とかなるとは限りません。採用広報が必要なのか、それとも先に見直すべきことがあるのか。まず、そこから考える必要があります。
MRDでは、採用サイトや求人票を作る前の「何を伝えるべきか」という整理からご相談いただけます。今ある情報を見直し、何が足りないのか、どこから手をつけるべきかを一緒に考えています。→ MRDの採用支援について
参考:東京商工リサーチ「2026年度上半期の『人手不足』倒産動向」
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