【計算シリーズ】求人票をいじるだけで、求人効果はいくらアップする?

MRD通信

「人が来ないから、まずは広告費を増やそう」——その前に見直すべき“1枚の紙”があります。そう、求人票です

人が来ない。
応募が増えない。
面接まで進まない。

この話になると、すぐに
「知名度がないから」
「今はどこも人手不足だから」 で片づけられがちです。

実際、2026年2月時点でも有効求人倍率は1.19倍、新規求人倍率は2.10倍、正社員有効求人倍率は0.99倍で、採用市場は依然として楽ではありません。つまり、待っているだけで人が来る時代ではない、ということです。

ここで見落としてはいけないのが、求人票そのものが、最初のふるいになっているということです。

エン・ジャパンの2024年調査では、求職者が求人選びで重視する上位は
「自分にできそうか」64%
「希望の条件があるか」56%
でした。

つまり、求人票を見た瞬間に「これは自分の仕事として想像できる」「条件が自分の基準に入っている」この2つが伝わらないと、そもそも土俵に立てないということです。

しかも、求職意欲があるのに応募に進まない人は少なくありません。Indeed Recruit Partnersの調査では、希望に合わなかった求人情報として上位に挙がったのは、仕事内容、給与、勤務地、通勤時間でした。つまり、「人がいない」の前に、書き方が足りない可能性があるわけです。

今は、求人票に書くべき内容そのものも厳密になっています。厚生労働省は2024年4月から、募集時に業務内容の変更範囲、就業場所の変更範囲、有期契約更新の上限や基準などの明示を追加で求めています。曖昧な求人票は、魅力が伝わらないだけでなく、時代にも合っていません。

では本題です。求人票を改善すると、求人効果はいくらアップするのか。答えは、これです。

求人効果 = 閲覧数 × 応募率 × 面接化率 × 採用率

たとえば、月に500人が求人票を見ているとします。

改 善 前

  • 閲覧数:500
  • 応募率:0.8%
  • 面接化率:50%
  • 採用率:25%

計算すると、

500 × 0.008 × 0.5 × 0.25 = 0.5人

月あたり 0.5人採用。つまり、2か月で1人採れるかどうかです。

多くの会社は、ここを誤解しています。求人票を直すと、応募率だけが少し上がる、と思っている。違います。実際は(少なくとも)3カ所に効きます。

1. 応募率が上がる

仕事内容、1日の流れ、入社後のイメージ、給与の考え方、残業の実態、向いている人・向いていない人。これが具体化されると、読む側は判断しやすくなります。

2. 面接化率が上がる

最初から認識ズレが少ないので、「思っていたのと違った」で離脱しにくくなります。

3. 採用率が上がる

面接の場が、説明会ではなく、確認と相互判断の場に近づくからです。つまり、求人票改善は、入口の改善でありながら、後工程にも効くのです。

現実的なモデルで計算してみます。

改 善 後

  • 閲覧数:500
  • 応募率:1.0%
  • 面接化率:55%
  • 採用率:28%

計算すると、

500 × 0.01 × 0.55 × 0.28 = 0.77人

月あたり 0.77人採用 です。

改善前の0.5人と比べると、

0.77 ÷ 0.5 = 1.54倍

つまり、

求人効果は約1.5倍

になります。

ここが重要です。

応募率は
0.8% → 1.0%
たった 0.2ポイント の上昇です。

面接化率も
50% → 55%

採用率も
25% → 28%

どれも、劇的な改善ではありません。でも、掛け算にすると結果は 1.5倍超 になる。採用は、こういう世界です。1つ1つは小さく見える。でも、工程全体で見ると、差は大きい。

仮に、求人媒体や掲載費などで月30万円 かけているとします。

改善前

  • 月30万円 ÷ 0.5人 = 1人あたり60万円

改善後

  • 月30万円 ÷ 0.77人 = 1人あたり約39万円

差は、60万円 − 39万円 = 21万円

つまり、1人採るたびに約21万円、採用コストを圧縮できる計算です。

これはかなり大きいです。なぜなら、求人票の改善は、媒体を増やすことより安く、採用単価を下げる方向に働くからです。

しかも本当の損失は、広告費ではありません。もっと大きいのは、こちらです。

  • 人が足りず、既存社員が疲弊する
  • 現場責任者が採用対応に時間を取られる
  • 受けられる案件を断る
  • 教育が後ろ倒しになる
  • 組織がずっと応急処置のままになる

つまり、求人票が弱いせいで起きる損失は、「応募が少ない」ことそのものではない。本当の損失は、採れないことによって、事業の動きが鈍ることです。ここを軽く見ている会社は多いです。か・な・り、多いです。

求人票改善で優先順位が高いのは、この順です。

1. 仕事内容を具体化する(親切に書く)

「営業」「事務」「制作」では粗すぎます。何を、誰に、どの順番で、どこまでやるのか。1日の流れが見えるレベルまで落とす。

2. 条件の“解釈余地”を減らす(はっきり書く)

給与レンジ、残業の実態、休日、勤務地、転勤の有無。ここをぼかすと、不利です。読んだ側は、都合よく解釈してくれません。むしろ警戒します。

3. 向いている人・向いていない人を書く

応募数を増やすだけなら、間口を広く見せればいい。でもそれは後で詰みますね。

採用は数ではなく、適合です。

4. 抽象語を捨てる(超・具体的に書く)

「アットホーム」
「やりがい」
「成長できる」
このあたりは、ほぼ無風です。無意味。伝わらない言葉を並べても、求人票は強くなりません。

5. 現場の言葉に直す

社内で使っている立派な言い回しより、応募者が頭の中で仕事を再生できる言葉のほうが強いです。

「求人票を改善すると、求人効果はいくらアップするのか?」現実的な試算では、約1.5倍 は十分にあり得ます。しかもそれは、応募率だけが跳ねる魔法ではなく、

  • 応募率
  • 面接化率
  • 採用率

この3つが少しずつ改善した結果として起きるものです。採用がうまくいかない会社の中には、市場のせいにしすぎている会社があります。でも実際には、負けている場所はもっと手前です。

求人票は、ただの募集要項ではありません。最初の営業資料であり、最初の選別装置です。

そこが弱ければ、人は来ません。来てもズレます。面接しても決まりません。逆に言えば、そこを整えるだけで、採用はまだ改善余地があります。

MRD(三浦)は、リクルート出身。求人のプロです。迷ったら、ご連絡ください。

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