府中大好き!価値も魅力もある。でも「言語化」と「届け方」が弱い。素材の編集力・調理力。つまり、伸びしろだらけ。

MRD通信

ぷらりと京王府中から、3月にお店が撤退するそうです…。またしても…。あんなにオープン当初は行列ができていたのに…。

そんなさみしい話はさておき。府中市に移転(移住)してきて、はや4年。時間と共にどんどん府中市が大好きになっていきます。お店の新陳代謝はあれども、魅力がいっぱいある街です、都市です。居住メリットも多いです。

でも、市外の人の外部評価を聞いたりすると(なんだかなぁ)と顔をしかめてしまうことがたくさんあるのです。例えば…

「府中に住んでます」「府中に引っ越しました」と取引先や友人に伝えると、たいていの反応はこちらの3つに集約されます。

  • 「府中か。競馬場のあるところだね」
  • 「府中刑務所(のあるところ)だね」
  • 「ああ、わかった。三億円事件のあった街だ」

先入観が非常に固定的で昭和的で、そのイメージが令和時代にアップデートされていない印象を強く受けます。10代・20代の方に聞いたら違うイメージかもしれませんが、仮に若い世代に聞いたとて、暮らしの街としては好印象だが“これぞ府中!”というポジティブな強力なイメージはないと想像できます。

一方、府中市の財政です。市の財政資料(市税内訳・固定資産税の比率)を見れば一目瞭然なのですが、市税が厚い:市の収入の“自前比率”が高いのが府中市の特徴。

府中市の「令和7年度 財政の概要(予算)」では、市税の内訳として

  • 個人市民税:約231億円
  • 法人市民税:約 25億円
  • 固定資産税:約241億円

と書かれていて、この3つで 市税全体の約9割を占める、と説明されています。

これがなにを意味するかというと、要するに、府中市は 「自分の街の中で生まれる税収(市税)」が財源の柱になっている、ということです。

逆に、「市税が財源の柱になっていない都市」とは“自前のエンジンが弱く、外部燃料(交付税・補助金・都道府県支出金など)で回している自治体”ということです。すぐ破綻するわけではないですが、運営上の不具合が出やすくなります。

市税が弱い自治体は、人口減や所得減の影響を吸収しにくく、子育て・教育・文化の選択肢が縮み、道路・橋・学校・公共施設の更新が先送りされがちで、新しい取り組みが生まれにくい状況に陥りがちです。府中はその真逆と考えてよいかもしれません。

話を戻します。

府中には価値も魅力も豊富。しかし、それが域外に伝わっていない。浸透していない。

これは、府中市の人たちが“自分たちの街の魅力に気づいていない”というのではなく、「言語化できていない」「伝達設計が弱い」だけだ、とMRDでは推測しています。つまり、豊富な魅力素材たちを編集できてない状態。

なので、伸びしろいっぱい!今こそ、機会損失を解消させるとき!と思っているのです。

美味しい新鮮な食材はあるのに、うまいこと料理できていない、調理できていない状態なんじゃないかな?と。

府中の魅力は、正直「ない」わけじゃない。むしろ、素材は多い。でも埋もれてしまう。理由はシンプルで、魅力の“量”ではなく“伝わり方”に典型的な落とし穴があるからです。

① 総花的になってしまう

例えば「自然も文化も便利(利便性)もあります」

これ、悪いことは言っていません。でも、どの街も言えてしまいます。結果として、府中の魅力は“正しいけど薄い”情報になり、記憶に残らないのです。

伝えるべきは、魅力の“全部”ではなく、府中を思い出すための名詞です。

「府中といえば〇〇」と言えるものを、まず3つに絞る。こういったところから始めてみてはどうなのかなと。

② 内輪目線になってしまう

地元の人にとって当たり前のものほど、外部の人には伝わりません。なぜなら、外部の人は府中の“前提”を持っていないから。

たとえば「住みやすい」「落ち着く」だけでは、何も判断できない。外部の人が知りたいのは、住みやすさの中身です。

“何がどう便利で、何がどう安心で、休日はどう過ごせるのか”。この解像度まで落として初めて、魅力は「情報」から「意思決定の材料」になります。

例えば、あんなに壮大な「くらやみ祭り」も来場者数としては超メジャーですが、全国レベルの認知度は思ったほど高くないのです。期間中70万〜80万人を集める“全国級”の祭りなのに!

③ 比較軸がない

府中を知らない人が最初にするのは、比較です。「東京の中で、府中ってどのポジション?」「自分の生活に置き換えると、どこと比べてどう違う?」。ここに答えがないと、府中は“その他大勢の良い街”のまま終わります。

PRで必要なのは、府中の自慢話ではなく、比較されたときの強みの言語化です。たとえば「都心アクセス×住環境のバランス」「生活動線の短さ」など、軸を固定して語るだけで印象は変わります。

④ 入口が弱い(見つけられない)

今は「いいものを作れば伝わる」時代ではありません。見つけられなければ、存在しないのと同じです。

検索で引っかからない。SNSで流れてこない。イベント情報も、点で終わって回遊導線がない。結果として、“府中に興味がある人”ですら、入口で離脱します。だから必要なのは派手なPRより、入口の整備です。

「誰が」「何を知りたくて」「どこで検索し」「次にどこへ行くか」。この導線を設計するだけで、魅力は埋もれずに届くようになります。

地域でも会社でも同じですが、魅力は“存在する”だけでは広まりません。届く形に整えて、はじめて人に選ばれます。つまりPRは、センス勝負ではなく設計です。府中の魅力を埋もれさせないために必要なのは、次の3段階です。

① 価値の棚卸し(事実)

最初にやるべきは、気持ちの良いキャッチコピー作りではありません。事実の棚卸しです。

  • 何があるのか(場所・人・企業・イベント・生活動線)
  • 何が強いのか(他と比べて優位な点)
  • 何が証明できるのか(写真・数字・体験談・レビュー)

ここが曖昧なままだと、言葉はすぐに「ふわっとしたPR」になります。逆に、事実が揃うと、発信は急に強くなります。なぜなら“根拠”が生まれるからです。

② 言語化・ストーリー化(意味)

棚卸しした事実は、そのままだとただの情報です。人が動くのは、情報ではなく意味です。

同じ「公園がある」でも、「子どもが遊べる」なのか「休日が整う」なのか「散歩で気持ちが切り替わる」なのか。意味づけが変わると、伝わり方は別物になります。

ここで重要なのは、魅力を“盛る”ことではなく、絞ること。全部語るほど、何も残らない。「府中といえば」を作るために、強みはまず3つに絞る。その3つを、誰に向けて、どんな一言で語るのか。これが言語化であり、ストーリー化です。

③ 届け方の設計(媒体・導線・継続)

最後は、届け方。ここが弱いと、魅力は永遠に“見つけられない”ままです。

今は「いいものを作ったら自然に広がる」時代ではありません。入口(検索・SNS・回遊導線)がないものは存在しないのと同じです。

  • どんなキーワードで検索されるのか
  • 最初に見せるページは何か
  • 次に何を見せ、どこへ回遊させるのか
  • どの頻度で発信し、何を積み上げるのか

この導線が設計されて初めて、PRは“単発の告知”から“資産”になります。

デザインは「見た目」ではなく、「変換技術」

ここで、私たちMRDの立ち位置がはっきりします。

デザインは飾りではありません。価値を、伝わる形に変換する技術です。

  • 事実を集め、
  • 意味をつくり、
  • 届く導線に載せる。

この3段階を揃えて初めて、府中の魅力は「知っている人だけのもの」から、「外部の人が選ぶ理由」へ変わります。

府中は素材が弱い街ではない。まだ“(宣伝されるべき)商品化”されていないだけ。伸びしろが大きいのは、ここです。

府中の魅力は、昔からあったはずです。それでも埋もれやすかったのは、届け方の問題もありますが、正直に言えば「時代の風」がまだ揃っていなかった面も大きいのではないでしょうか。

ところが今は違います。府中が持っている強みと、社会の変化が、噛み合い始めています。先日のMRD通信でも触れた通り、府中の産業ポテンシャルと働き方の変化が“きれいに重なり始めている”のがポイントです。

① 人の動きが変わっている(働き方・住む場所・余暇)

働く場所は「毎日出社する一点」から、「出社+リモート+移動」の組み合わせへ。住む場所も「会社の近く一択」から、「生活が整う場所」へ軸足が移りつつあります。この変化は、府中のような“都心に近いのに、生活を崩しにくい街”にとって追い風です。

実際、先日の記事でも都心の住居費の上昇や、生活コストの臨界点が都心集中の前提を揺らし始めている点に触れました。

つまり府中は、都心のコピーではなく、別の勝ち方で選ばれる条件が整ってきているわけです。

② 採用が難しい(企業は“地域の魅力”を武器にしたい)

採用難の本質は「採れない」だけではありません。もっと痛いのは「定着しない」こと。ここで効いてくるのが、会社単体の魅力ではなく、“その会社で働くと、どんな暮らしが手に入るか”という地域込みの価値です。

先日の記事でも、府中の強みを「採用の母集団」ではなく「定着の母集団」に置く発想が重要だ、と整理しています。

会社の採用広報が強くなるほど、街の魅力も必要になる。逆に、街の魅力が言語化されているほど、企業の採用も強くなる。いまはこの相互作用が、成果を分ける局面なのです。

③ 行政も民間も「発信の質」が成果を分ける時代

いまの競争は「良いものを持っているか」ではなく、“見つけられるか/理解されるか/選ばれるか”です。そしてこれは、広告の予算勝負ではありません。

情報の出し方、比較軸、入口(検索・SNS)、回遊導線、継続運用。この「発信の質」の差が、そのまま来街・移住・採用・連携の差になります。

先日の記事でも「都市の競争は施設ではなく設計で決まる」「点ではなく線を引き、線を面にする」と整理しましたが、まさにここです。

府中の魅力を語るとき、つい「大きな施策」「派手なキャンペーン」を想像しがちです。

でも実際は逆で、成果を分けるのは小さくて地味な設計だったりします。府中の魅力を“届く形”にするために、まずやるべき打ち手を4つに絞ります。

① 「府中の強みを3つに絞る」——絞るほど強い

魅力は多いほど良い。…のは事実です。ただしPRでは、魅力が多いほど弱くなります。なぜなら、人は街を「3つくらいの名詞」でしか覚えないから、です。

「自然も文化も便利もあります」は正しい。でも記憶には残らないのです。逆に、「府中といえばこれ」と言えるものが3つあると、一気に伝わります。

やることは単純で、まず強み候補を並べる。そこから「他の街でも言えるもの」を捨て、府中らしいものだけを残す。そして最後に、3つに絞って“柱”にします。

絞る=捨てる、ではありません。絞る=「入口を作る」ことです。入口ができると、残りの魅力は後から勝手に伝わります。

② 「ターゲット別に言い方を変える」——同じ魅力でも刺さる言葉は違う

同じ府中の魅力でも、相手によって響くポイントは変わります。ここを雑にすると、全員に薄い発信にしかなりません。

  • 移住者:暮らしが整うか(生活動線・住まい・安心)
  • 採用候補者:働き続けられるか(通勤・生活・休日・地域の空気)
  • 来街者:休日が満たされるか(回遊・イベント・食・散歩)
  • 企業誘致/企業側:人が集まり、定着するか(採用・住環境・発信力)

魅力を変える必要はありません。言い方と見せ方を変えるだけでいいのです。PRが急に強くなるのは、この“翻訳”ができた時です。

③ 「検索で拾われる入口を作る」——見つけられなければ存在しない

いまの時代、魅力は“知っている人”にだけ届いても意味がありません。知らない人が最初にやるのは・・・そうです。「検索」です。

  • 「府中 住みやすい」
  • 「府中 休日 過ごし方」
  • 「府中 イベント 今日」
  • 「府中 子育て」
  • 「府中 転職」

このとき、入口がないと終わります。なので、派手な広告より先に作るべきは検索で拾われるコンテンツです。具体的にはこの3つだけで十分スタートできます。

  • FAQ:よくある不安・疑問を先回りして潰す(移住・採用・来街それぞれ)
  • 特集ページ:「休日の過ごし方」「散歩ルート」「暮らしの動線」などテーマで束ねる
  • イベント導線:告知で終わらせず「来た後、どこへ回るか」を同じページで案内する

入口が整うと、府中の魅力は“点”ではなく“線”で伝わり始めます。

④ 「人の声で証明する」——最強のPR素材は、台本ではなく実話

街のPRが弱くなる最大の原因は、言葉が“公式っぽく”なることです。きれいな文章ほど、信用されにくい。一番効くのは、人の声です。

  • 店主が語る「この街で商売を続ける理由」
  • 社員が語る「ここで働くと生活がどう変わったか」
  • 家族が語る「休日の過ごし方」
  • 移住者が語る「決め手になったポイント」

ここまで出せると、魅力は“主張”ではなく“証拠”になります。そして証拠は、暗いイメージも、先入観も、静かに上書きしていきます。

府中のPRは、予算より先に、設計で伸びます。「3つに絞る」→「相手に翻訳する」→「検索入口を作る」→「人の声で証明する」、この順番で積み上げるだけで、空気も潮目も変わるはずです。

「固有名詞」や「体験」に落ちるものを優先して個人的に挙げてみます。最後の括弧の中は“見せ方の切り口”として、です。

  1. 都心アクセス×住環境のバランス(通勤圏で“落ち着く”)
  2. 大きい公園・緑(休日の過ごし方が想像できる)
  3. 多摩川・水辺の動線(ラン・散歩・子ども遊び)
  4. 自転車で生活が回る街サイズ(移動ストレスが少ない)
  5. 子育てのしやすさ(導線)(保育→学校→公園→医療の近さ)
  6. 医療アクセス・安心感(“いざという時”の安心)
  7. 教育・部活・習い事の選択肢(家族の意思決定に効く)
  8. スポーツ文化(観戦/参加/子どもスポーツ)
  9. 地元イベントの厚み(季節の行事で“帰属”が生まれる)
  10. 商店街・個店のキャラ(チェーンで埋まらない)
  11. 飲食の“使える店”の多さ(家族・接待・一人飯)
  12. ものづくり・技術の街(企業集積)(働く誇り・採用)
  13. 大企業だけでなく中堅中小が元気(転職先の選択肢)
  14. 職住近接が成立しやすい(生活時間が増える)
  15. 住まいの選択肢の幅(戸建/マンション/賃貸)
  16. 東京なのに“東京すぎない”(子ども・高齢者に優しい)
  17. 歴史・文化資産(史跡/祭/神社仏閣など)(“深み”の名詞)
  18. 競馬場=巨大イベント拠点(花火/フリマ/家族レジャー文脈に置く)
  19. 刑務所=公共機能の存在感(否定せず“街の一部”として中和)
  20. “語れる人”がいる街(店主・職人・社員・移住者の声=最強PR素材)

ここから先は「どれが事実として強いか」「誰に効くか」で3つに絞って、編集。絞らないPR・欲張りすぎるPRは100%負けてしまいます。絞る、尖らせる、刺す!これが鉄則です。

① 移住・転入(ファミリー/共働き)

  1. 東京の通勤圏で、週末がちゃんと休める街。
  2. 子どもの予定も、大人の用事も、近くで片づく。
  3. 公園と水辺が近いと、家族の会話が増える。
  4. 「便利」だけじゃない。「暮らしやすい」もある。
  5. 生活の移動が短い。だから時間が増える。

② 来街(休日レジャー/近隣からの日帰り)

  1. 遠出じゃなくていい。休日が“ちゃんと満たされる”。
  2. ただ歩くだけで気持ちいい。そんな道がある。
  3. 子どもが飽きない、大人も疲れない週末コース。
  4. 予定を詰めなくても楽しい街。
  5. 今日は“緑とイベント”だけで十分。

③ 採用候補者(転職/新卒の検討者)

  1. 仕事を選ぶなら、「帰り道」まで含めて選ぼう。
  2. 生活が整うと、仕事のパフォーマンスが上がる。
  3. 都心に近いのに、消耗しない。
  4. 技術の現場がある街は、キャリアが地に足つく。
  5. “働く場所”ではなく、“働き続けられる場所”。

④ 企業(経営者/人事/採用広報・広報担当)

  1. 府中は素材がある。足りないのは編集と導線。
  2. 採用は求人票より先に、「街の魅力」が効いてくる。
  3. 会社の魅力は、地域の魅力とセットで強くなる。
  4. 発信はセンスじゃない。設計で勝てる。
  5. 企業の“人”を見せると、街のイメージまで変わる。

上記は、これで完成の謳い文句ではありません。抽象度が高くて「府中じゃなくても言える」リスクがあります。効果を生み出すには 固有名詞/具体体験/証拠で“府中だけ”に落としこむ必要があります。

MRDががここでやろうとしているのは「府中PR」ではありません。そうじゃなくて、実質“府中の企業の採用・広報を勝たせる地域ブランディング”です。

すごい勢いで高層マンションが、たくさん出来上がっていっている府中。域外からの転入者(主にファミリー層)が増え続ける府中。しかし…

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