「応募が来ない」
「採ってもすぐ辞める」
「経験者が全然つかまらない」
いま、多くの中小企業が採用で詰まっています。そして、このように結論づけてしまいがちです。
「人がいない」
確かに、人口動態の流れもあり、採用市場は厳しいわけですが。でもここで一度、疑ってみたい。みてください。
採用難の正体は、“人がいない”ことより、会社側の“人作り(戦力化)”が弱いことなのでは?と。
今日は、そういったお話です。

目 次
0. 企業が言う「体育会系」の正体
採用の相談でよく聞く言葉があります。それが
「体育会系(出身の若者)が欲しいんです!」
「体育会系が欲しい」は、だいたい次の3つの“本音”が混ざった言い方です。言葉のままだと曖昧すぎて、採用も育成も事故ります。
1) しんどい状況でも逃げない人
- 繁忙・クレーム・納期・現場の理不尽があるときに踏ん張れる
- 体力というより、ストレス耐性/回復力/粘り
注意:これを「根性」で片付ける会社はブラック化しやすい。耐えるだけの人を集めると、改善が起きない。
2) 指示系統が通る人(素直さ)
- 返事が早い、報連相する、まずやる
- 価値観は「議論」より「実行」
注意:素直さ=従順、になっている会社も多い。従順を求めるのは、仕事設計が曖昧でマネジメントが弱いサインでもある。
3) 競争と成果に慣れている人
- 数字に追われても折れにくい
- 目標達成のプロセスを回せる(練習→改善→本番)
注意:競争に強い人は、評価制度が曖昧だと一瞬で冷める。「頑張っても報われない」と判断したら静かに去る。
1. 「体育会系が欲しい」は、現場が悲鳴をあげている証拠
企業が体育会系を欲しがるのは、裏を返すと、次のような状況が多いです。
- 仕事が属人的で、手順化されていない
- 役割と優先順位が曖昧で、現場が常に火消し
- 評価が不透明で、本人の納得が作れていない
- マネジメントが弱く、「気合で埋めたい」誘惑がある
だから「体育会系」というフィルタをかけて、設計不良を人間性能で埋めようとしているわけです。これは短期的には効きます。でも長期では、燃え尽きと離職で詰みます。行き詰ります。
- 忙しくても踏ん張ってほしい
- 指示が通ってほしい
- 報連相してほしい
- トラブルでも折れないでほしい
- 自分で動いてほしい
要するに、欲しいのは人格ではなく、現場が回る行動なわけです。そして、「体育会系が欲しい」と言いたくなる会社ほど、現場を回すための「型が弱い」ことが多い、ということなのです。
2. 採用に困っている会社ほど「できる人前提」になっている
採用がうまくいかない会社には、共通の前提があります。
“できる人が来てくれれば解決するんです”
↑ こういう感じ。
でも、いまの市場では、「できる人」ほど仕事も会社も選べます。選択肢いっぱい。選び放題。そして、できる人ほど最初に見るのはここです。
- 仕事の進め方が整理されているか
- 評価がわかりやすいか
- 成長の道筋が見えるか
- 無理が常態化していないか
ここが曖昧だと、できる人ほど早く見切ります。結果、「できる人待ち」になり、採用はさらにうまくいかなくなる。悪循環。
3. 本当に必要なのは「頑張れる人」ではなく「普通の人が戦力になる仕組み」
本当に必要なのは「頑張れる人」ではなく「普通の人が戦力になる仕組み」、再現性。ここが盲点です。
会社が本当に欲しいのは、根性のある人ではなく、成果が安定して出る状態です。言い換えると、
- どんな人が入っても、一定の品質で仕事が回る
- トラブルが起きても、立て直せる
- 属人化せず、チームで前に進む
これを作るのが、会社の「人作り」です。そしてこれは、教育係の頑張りではなく、会社の設計で決まります。MRDがいつもいう「仕組み」というやつです。営業も仕組み、採用も仕組み。
4. 「人作り」が弱い会社で起きる、3つの典型症状
採用難が続く会社は、だいたいどれかが起きています。
症状① 仕事の進め方が人によって違う(属人化)
「Aさんならできるけど、Bさんだと止まる」。これは人の問題ではなく、仕事が型になっていない状態です。
症状② 優先順位が毎日変わる(火消し常態化)
火消しが常態化すると、頑張る人ほど燃えます。そして辞めます。残るのは疲れた現場です。
症状③ 評価が曖昧(頑張るほど損になる)
「やった人が損をする」空気が一度できると、静かな退職が広がります。頑張らないのが合理的になるから。
5. 「会社の人作り」を強くする3点セット
ここからは対策、方法。難しくはありません。なお、取り掛かる順番が大事です。
① 仕事の“型”を作る
必要なのは「最低限これだけ守れば事故らない」という型です。分厚いマニュアルではありません。
- 何をいつまでに、どの粒度で出すか
- 迷ったときの判断基準(期限・品質・顧客影響など)
- 報告の型(現象→原因候補→次の一手)
これがあるだけで、新人が詰まる場所が減ります。
② 評価のルールを文章にする
若手が一番嫌うのは、頑張った結果が読めないことです。期待値を安定させましょう。
- 何をすると評価されるか
- 何をすると評価が落ちるか
- どこまでできれば合格か
ここを明文化すると、安心して動けます。評価を見える化しましょう。
③ 育て方を段階設計する
- 最初:手順通りにできればOK
- 次:選択肢の中から判断できればOK
- 次:目的だけ渡して任せる
自走は“気合”ではなく、ステップで作れます。いきなり自走を求めるのは禁じ手です。
MRD的まとめ:採用は「人探し」より「人が育つ会社づくり」
採用市場が厳しいのは事実です。でもそれ以上に効くのが、これです。
「うちの会社は、普通の人でも戦力になれる」と胸を張って言える状態にすること。
人がいないから採用できないのではなく、人が育つ設計が弱いから、採用も定着も難しくなる。
もし採用に困っているなら、「いい人を探す」前に、こう問いかけてみてください。

うちは『人が育つ会社』になっているのかな? と。
