「儲かる仕事」というと、どんなイメージが浮かびますか。キラキラした新規事業、スマートなITビジネス、在宅でラクに稼げる副業……。
ところが、日々中小企業の現場を見ていると、「本当に利益を出している会社ほど、面倒くさい仕事を大事にしている」ことに気づきます。今回のMRD通信では、「なぜ面倒くさい仕事ほど儲かるのか」を、経営の視点から整理してみたいと思います。

なぜ「面倒くさい仕事」は儲かるのか
みんなが避けるから「希少資源」になる
まず一つ目の理由は、「誰もやりたがらないから」です。
雑務、社内調整、保守運用、クレーム対応、細かいデータ整理……。どれも大事な仕事ですが、会社の中で「やりたいです!」と手を挙げる人は多くありません。結果として、これらの仕事をきちんと引き受け、ちゃんとこなせる人・会社は、意外なほど少ないのです。つまり「やればやるほど、他と差がつく仕事」になっていきます。
信頼と「スイッチングコスト」が積み上がる
二つ目の理由は、「関係性が深くなり、簡単には他社に乗り換えられなくなる」ことです。面倒くさい仕事ほど、お客様の社内事情や歴史、担当者の癖まで理解しないと回りません。
そこまで入り込んで一緒に汗をかいていると、発注側から見ると「他の会社に切り替えるのが、かえって大変」になっていきます。こうして「この会社に任せておいた方が安心だ」という心理的なスイッチングコストが積み上がり、長い付き合いになりやすくなります。
「ラクそうな仕事」には参入が殺到する
三つ目の理由は、「ラクそうな仕事ほど、すぐ真似される」からです。誰でもすぐ始められて、専門知識も要らず、どの会社がやっても成果があまり変わらない。そんな仕事は、参入が増えれば増えるほど価格競争になります。
たとえば、単純なデータ入力や「とりあえず作るだけ」のホームページ制作などは、このパターンに陥りやすい領域です。一方で、「お客様の業界や社内事情を理解した上で、運用や改善まで踏み込む仕事」は、誰にでもすぐ真似できるものではありません。
どんな「面倒くさい仕事」が儲かるのか
専門性が乗る「面倒くささ」
もちろん、ただ大変なだけの仕事を増やしても、社員が疲れるだけです。大事なのは、「自社の専門性が活きる面倒くささ」を選ぶことです。
例えば、当社・Miura-Re-Designであれば、単なるデザイン制作ではなく、「製造業のBtoB企業向けに、営業現場の動きや顧客との関係性まで踏まえたWeb・資料づくり」という形で、業界知識と現場理解が必要な領域に深く入り込んでお仕事をいただいたりしています。こうした仕事は、見た目以上に“根っこの理解”が必要なので、参入できる会社が限られ、結果として高い付加価値につながります。

上記以外も他にも当社事例で言えばたくさんあります。他社が引き受けたがらない面倒な(特殊な)仕様の冊子制作|取材・ヒアリングをマメに行うことでしか制作できないお客様のサイト|修正回数が非常に多いお客様など。引き寄せるのか、当社が我慢強いのか…
相手が「本当にやりたくない部分」に踏み込む
もう一つのポイントは、「相手が本当にやりたくない部分」を引き受けることです。例えば製造業の現場では、こんな仕事が挙がりがちです。
- 展示会や商談後の、名刺・メモの整理とフォローリスト化
- バラバラな営業資料の整理・標準フォーマット化
- 紙とExcelに散らばった顧客情報を、Webや冊子に落とし込む作業
これらは、どこの会社でも「大事なのは分かっているけれど、手が回らない」領域です。
ここを、外部パートナーとして一緒に整理し、仕組み化まで伴走できれば、「なくては困る存在」になっていきます。
単発ではなく、運用・改善まで
面倒くさい仕事の価値が一番よく出るのは、「単発」ではなく「続きもの」にしたときです。
- ホームページを作るだけで終わらせず、「毎月の更新運用+アクセス解析+改善提案」までセットにする
- 会社案内を作るだけでなく、「営業現場での活用方法のレクチャー」まで行う
- ニュースレターを作るだけでなく、「配布・メルマガ配信・反応の分析」まで支援する
このように、最初から「運用と改善」までパッケージにすることで、関係が継続し、売上も安定していきます。
自社の「面倒くさい資産」を見つける質問
社内の“泥臭い仕事”を書き出してみる
では、あなたの会社には、どんな面倒くさい仕事があるでしょうか。まずは、社内で次のような仕事がないか、紙に書き出してみてください。
- なぜか特定の人だけが引き受けている、細かい調整業務
- 「なくなると困る」のに、正式な担当者が決まっていない仕事
- 忙しいときほど後回しにされるが、後でトラブルにつながりやすい仕事
これらはすべて、見方を変えれば「お金に変わるかもしれない面倒くささ」です。
「お金を払ってでも任せたいか?」で仕分ける
次に、そのリストの中から「お客様が、お金を払ってでも外部に任せたいと思うか?」という視点で丸を付けてみてください。社内では当たり前すぎて気づいていないけれど、他社から見れば「それをやってくれるなら助かる」という仕事が、意外と埋もれています。
サービス化・商品化のヒント
丸が付いたもののうち、特に次の条件を満たすものは、サービス化の候補になります。
- 月に一度以上は発生している
- 手順化・マニュアル化すれば、仕組みとして回せそう
- 似た悩みを持っていそうな会社が、他にも思い浮かぶ
ここまで来れば、あとは名前を付けて、簡単なパッケージと料金を決めるだけです。
例えば、
「展示会フォロー整理パック」
「営業資料リデザイン&標準化プラン」
「社内バラバラ情報の“見える化”冊子制作」
のように、“何が楽になるサービスなのか”が伝わる名前を付けると、営業の現場でも提案しやすくなります。
面倒くさい仕事を誇れる会社は強い
世の中には、「ラクに儲かる仕事」をうたう情報があふれています。しかし、私が中小企業の現場で見てきたのは、「面倒くさい仕事を丁寧に積み重ねている会社ほど、長く、安定して利益を出している」という現実です。
自社の中に眠っている「面倒くさい資産」を見つけ、それをビジネスとして再定義できれば、価格競争から一歩抜け出すことができます。「うちは派手さはないけれど、こういう泥臭いところまで一緒にやります」そう胸を張って言える会社は、きっとこれからも強いはずです。
MRDでは、「自社では言語化しきれていない“面倒くさい価値”」を一緒に整理し、伝わる形(Web・紙・資料など)に落とし込むお手伝いをしています。「うちの会社にも、何か面倒くさい仕事が眠っていそうだ」と感じた方は、どうぞお気軽にご相談ください。
