今回は、MRD通信の中でも相談が多い「ビジネスアイデアの産み出し方」「(独自の切り口を生み出す)ヒントの拾い方」について整理してみました。
面白い・独自の切り口は、ビジネスを自走させるうえで強い武器になりますし、同じテーマ、同じ市場、同じ条件でも、切り口ひとつで提案の通り方、意思決定のスピード、相手の納得感が変わるものです。
また現実でもネットでも、「どうすれば独自の切り口が出せるのか」という相談は繰り返し発生します。
そこでMRD通信として、「切り口はセンスだけの話ではなく、ヒントの拾い方で再現性を上げられる」という観点から、ポイントを共有したいと思います。

目 次
結論:独自性は「情報量」ではなく「混ぜ方」で生まれる
今回は結論から先に書きますね。
独自の切り口は、単に情報を集めた量ではなく、拾ったヒントの“つなげ方”で生まれます。
同じニュースや本を見聞きしていてもアウトプットが変わるのは、ヒントの拾い方と、つなげ方が違うからです。ここから先は、MRD通信が効果を実感している方法を5つに分けて紹介します。
1)現場のヒントを“取りに行く”回数を増やす
独自性の源泉は、現場にあります。(当社がよく“取材”を行うのは、そのためです)
会話の言い回し、当事者の迷い、困りごとのニュアンス、表情の変化。
ネット上の整理された情報は便利ですが、同時に「多くの人が同じものを見ている」ため差別化が難しくなります。だからこそ、足で拾ったヒント、耳で拾った言葉を増やすことが効きます。
現場のヒントは、短い時間でも十分に価値があります。
- 取材、ヒアリング
- 営業現場の雑談
- 顧客の“愚痴”や“言い淀み”
こうした部分に、切り口のタネが眠っています。
2)“隣の業界”からヒントを借りる(1〜2歩ずらす)
異なる業界の考え方を持ち込むと切り口は生まれやすくなります。ただし、遠すぎる業界は転用が難しい。
おすすめは「隣接領域」です。言葉は違っても構造が似ているため、持ち帰れるヒントが多くなります。
例:
- 採用 × 営業(信頼構築、成約、意思決定)
- 営業 × 編集(相手の言葉にする、構成を作る)
- 編集 × 教育(理解の壁、つまずきポイントの設計)
“1〜2歩ずらす”だけで、同じテーマでも語り口が変わります。
3)「例外」だけを拾う(うまくいかなかった側も見る)
切り口が平凡になる最大の理由は、「一般論の補強」ばかりしてしまうことです。独自性を作るなら、あえて逆を見ます。
- うまくいかなかったケース
- 当てはまらないケース
- 常識が通用しない現場
たとえば「採用はSNSが大事」と言われるなら、「SNSが弱くても採用できている会社はなぜ?」を追う。
この“例外”を拾うことで、一般論に依存しない言語化ができ、切り口に奥行きが出ます。
4)数字(事実)と気持ち(本音)をセットで拾う
数字だけだと冷たくなり、気持ちだけだと薄くなります。切り口に厚みが出るのは、現場の感触を事実で輪郭づけできたときです。
- 「なぜ動いたか」(本音・背景)
- 「何が決め手だったか」(事実・条件の整理)
このセットで拾うと、説得力と再現性が両立します。経営者や担当者の意思決定に刺さる切り口は、この両輪で作られます。
5)「誰の判断を動かすか」から逆算して拾う
切り口は芸ではなく、目的の道具です。
「誰が判断するのか」「どの瞬間に迷うのか」を起点にヒントを拾うと、自然と角度が定まり、取捨選択も鋭くなります。
- 経営者が判断するのか
- 現場責任者が動くのか
- エンドユーザーが腹落ちするのか
まとめ:切り口は「才能」ではなく「拾い方」で強くできる
独自の切り口は、センスの一言で片付けられがちですが、実態はヒントの拾い方で再現性が上がります。
- 現場のヒントを取りに行く
- 隣の業界から借りる
- 例外を拾う
- 数字(事実)と気持ち(本音)をセットで拾う
- 誰の判断を動かすかから逆算する
この5つを回すだけで、「どこかで見た話」から抜け出しやすくなります。

「良い切り口を出そう」と力むほど、切り口は出ません。
コツは、日常の中で“拾う→ためる→混ぜる”を回しておくことです。
