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課題の解像度が甘いまま相談すると、総花的な会話で終わる
「補助金の相談会に行った」
「経営相談を受けた」
「専門家に壁打ちした」
それなのに、会社があまり変わらない。やったことは増えたのに、成果が動かない。こういう話をよく聞きます。
結論から言うと、相談会が悪いのではありません。
“課題の解像度”が甘いまま相談に入ると、相談は必ず総花的になります。そして総花的な相談と回答は、ほぼ例外なく「役に立たない」。
今日はその構造と、相談会を“使える場”に変える方法を整理します。

なぜ相談が総花的になるのか(構造)
相談会でよく出てくる相談は、だいたいこの形です。
- 売上が伸びない
- 採用が厳しい
- 集客が弱い
- 会社の認知がない
- 価格転嫁ができない
ここで重要なのは、これらが課題ではなく「症状」だということです。

「風邪っぽいです」と言われた医者が、「睡眠・栄養・運動が大事です」と答えるのは自然ですよね。でもそれは、患者が本当に求めている“処方”にはなりにくい。
企業の相談も同じで、症状だけだと回答はこうなります。
- 営業を強化しましょう
- ホームページを改善しましょう
- SNSをやりましょう
- 採用サイトを整えましょう
- 価格設計を見直しましょう
つまり「全部大事」という話になって終わるわけです。ザ・総花的。
相談会が役に立たなくなる“4つの空欄”
総花的な回答に収束するのは、相談側の中に「空欄」があるからなんです。
1)課題が症状止まり
「売上が伸びない」は、原因が無数にあります。商品、単価、営業、顧客層、導線、季節性、競合、担当者…。原因が特定されていない相談は、一般論しか返せません。
2)制約条件が空欄
期間・予算・人員・優先順位・意思決定の速度。ここが不明なままだと、助言する側も「絞れない」。絞れないので、網羅的に言うしかないのです。
3)数字が空欄
「どこで詰まっているか」が数字で見えないと、診断できません。例えば集客なら、
- 流入
- 問い合わせ(CV)
- 商談化
- 受注
このどこが落ちているかで打ち手は別物です。数字がない相談は、方向性しか出せなません。
4)ゴールの定義が空欄
「良くなった」の定義がないと優先順位が決まりません。“何をどれくらい、いつまでに”が無いと、行動も決まらないのです。
相談会を“使える場”に変える「1枚メモ」
相談会は、課題を解決する場ではなく、課題の解像度を上げる場です。そのために必要なのは、立派な資料ではありません。
紙1枚、これだけで十分です。
① 現象(何が起きているか)
例:
- 見積提出後の失注が増えた
- 応募が月3件→0件になった
- 問い合わせはあるのに商談化しない
② 数字(どこで詰まっているか)
例:
- 月間流入 10,000 → 問い合わせ 30(CVR 0.3%)
- 問い合わせ 30 → 商談 10(33%)
- 商談 10 → 受注 2(20%)
「どの段階で詰まっているか」を(仮説でも良いので見)決めた瞬間に、相談のピントが、ぼんやりした全体論から、狙いを定めた具体論に一気に変わっていきます。
③ 目標(いつまでに、どこまで)
例:
- 3か月で問い合わせを2倍
- 上期で採用2名が必達
- 既存顧客の売上を15%上げたい
④ 制約(できないこと)
例:
- 人は増やせない
- 値下げはできない
- 制作に割ける時間は月◯時間
⑤ 仮説(たぶん原因はここ)
例:
- 問い合わせ後の初動が遅いのでは
- 求人票の訴求がズレているのでは
- 「誰に何を約束するか」が曖昧では
以上の、この5点が揃うと、相談会は「一般論」ではなく、診断と処方の入口になります。
「役に立たない相談」になっているサイン
逆に、相談が総花化している会社には共通のサインがあります。
- 質問が「何をすればいいですか?」から始まる
- 背景説明が長いのに、数字が出てこない
- 施策案が10個出るのに、優先順位が決まらない
- 最後が「検討します」で終わる
この状態は、相談会の前提がまだ整っていない、というサインです。
MRD的まとめ:相談は“答えをもらう場”ではなく“絞り込む場”
MRDの仕事も同じで、いきなり企画や制作、施策提案に飛びません。先にやるのは、課題の解像度を上げることです。
解像度が上がると、打ち手は少なくなります。少なくなるから、実行できる。実行できるから、成果が出る。
相談会を有効にしたいなら、次回からはこう考えるのが良いと思います。
「答えをもらいに行く」のではなく、「課題を特定しに行く」。

たったこれで、相談会の価値は大きく変わりますよ。
