野中郁次郎氏が提唱した理論。暗黙知(※1)を形式知(※2)に変え、社員一人ひとりの知識を、組織全体の知識・企業の全体の知識・ノウハウへと変換していこうとする考えのこと。「組織的知識創造理論」とも言われます。
(※1)暗黙知:言葉や図式として表現できないが、明らかに存在する知識のことです。例えば自転車。自転車には練習すればだいたいの人が乗ることができま す。複雑なテクニックや体感を必要とします。でも、これを言葉ではうまく表現できません。結局言葉で教え込むよりも、何度も転びながら乗っているうちに乗 れるようになってしまう…。これが暗黙知。言葉で学ばなくても視覚的・体感的に覚えることで伝達される「職人技」も暗黙知です。⇔形式知。
(※2)形式知:暗黙知の対義語。言葉や図式、数式などで表現できる知識のことです。組織における形式知の一般的な例は、各組織が独自に作成した作業手順、マニュアル書です。SECIとはそれぞれ以下の言葉の頭文字から来ています。
■共同化(Socialization)=S
言葉ではなく、主に体験を通じて・同じ共通体験を経て知識を得たり、伝えたりするプロセス。《例》師匠の仕事ぶりを見ながら手順を覚える。ダンスの振り付けを見て覚える。製品の“いい仕事っぷり”を見たり触ったりして体感する。
■表出化(Externalization)=E
得られた知識(暗黙知)を言語化したり、図式化したりするプロセス。体験を目に見えるカタチに表現すること。《例》体験で感じた知識・自分の気持ちや思いを言葉に出す。文章化する。絵にする。図にする。
■連結化(Combination)=C
形式知化された知識を組み合わせたり、分析したりして、新らしい形式知を創造していくプロセス。《例》資料(これまでの形式知)を見て新しい手法を思いつく。発見する。考え出す。既存のマニュアル書に新しい知識を足し、新しいマニュアルに変える。
■内面化(Internalization)=I
利用可能となった形式知を基にして、個人(社員一人ひとり)が実践を行い、その知識を体得するプロセス。経験や学習内容を暗黙知として自分のものにしてい くプロセス。《例》マニュアル書の内容を現場で実践してみて付ける。新しい手法を実際に取り入れて業務をこなす。自分のものにする。
下の図は「共同化(S)」から始まる一連の流れを図にしたものです。
知識創造活動は立体的です。1回転で終わるものではなく、繰り返し行い、竜巻きのようにぐるぐるとスパイラルアップさせることが重要です。
下の図は、それを真上から見た平面図です。S→E→C→Iの流れを、ステップで分解した図です。