視点を高く、目を向けるべきは世界
人口が減る一方の国内だけが市場(しじょう、マーケット)ではありません。世界にはまだまだ買い手が、買い手候補(開拓を待っている市場)がたくさんいることを忘れてはいけません。今月のMRD通信は、そんなお話。
盆栽なんて古い趣味!と思ったら間違い
農林水産省によると植木等(植木類、盆栽類、鉢物類)の輸出額は約80億円(2016年)。2001年には6億円でしたから、相当な急成長市場。盆栽は海外にも広く愛好者が存在し、市場は広がる一方。特に、欧州市場では現地人指導者による盆栽教室、愛好家クラブによる展示会等により、根強い需要があります。
もはや「錦鯉」ではなく。NISHIKI-GOI
盆栽と並んで、日本文化の象徴として楽しまれているのが錦鯉。かつて究極の道楽といわれ、大きな池のある庭で、一匹数百万円の錦鯉を飼うのがステータスの時代がありましたが、集合住宅が増え、庭付き住宅が少なくなり、錦鯉を飼える条件や機会が減るとともに市場は縮小していきました。しかし、縮小する国内市場に代わって現在、注目されているのが海外市場。錦鯉等の鑑賞用魚は、欧米やアジアの富裕層を中心に増加傾向です。新潟県中越沖地震が発生した2007(平成19)年以降の落ち込み(翌年の輸出額約22億円)も、いまやV字回復しました(約36億円)。
子どもは世界中で生まれています
出生率が低い国内需要を尻目に、粉乳(育児用調製品ほか)の輸出も伸びています。中国におけるメラミン混入事案を背景に香港での日本産粉乳ニーズが増え輸出額も増加。一時、東京電力福島第一原発の事故等の影響で輸出額が大きく減少したものの、2013年からV字回復し、今や77億円市場です。
日本酒。日本食ブームを背景に増加傾向
日本酒(清酒)の輸出額は日本食ブームを背景に右肩上がり継続中。世界無形文化遺産登録により、和食の人気が世界的に高まっていることや、寿司をはじめとした海外の日本食レストランを中心に消費の裾野が広がったこと等が要因。今は米国、香港、韓国、中国等向けが全体の約8割ですが、欧州市場に目を向けるとますます市場拡大が期待できます。
和牛も、もはや「Wagyu(和牛)」の時代
日本食ブーム拡大の影響を受けているのは日本酒だけではありません。「Wagyu(和牛)」として知名度が高まっている国産牛肉や、緑茶もで、共に過去最高の輸出額を更新中。特に緑茶は各国における健康志向の高まりにより、緑茶の効能が受け入れられ、飲用だけでなく料理やデザート等、加工向けに抹茶を用いる等、用途が広がっています。輸出が伸びるわけですね。(終)
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