MRD通信をご覧のみなさま、こんにちは。三浦です。
今日は「移動すること」について、少しだけ真面目に書いてみます。ここでいう移動は、遠くへ旅行することだけでなく、「歩く」「電車に乗る」「いつもと違うルートを選ぶ」といった、日常のちょっとした動きも含めた広い意味での移動です。

「移動は大事(だいじ)だよね」と聞くと、なんとなく良い話に聞こえます。でも、ここを曖昧にすると、ただの気分転換で終わります。今日は仕事の視点でお伝えします。
移動は、仕事の質を変えます。しかも、想像以上に。
目 次
1. 同じ場所にいると、思考は“省エネ”になる
人間の脳は賢いので、慣れた環境では省エネ運転を始めます。
- いつもの道
- いつもの席
- いつもの人
- いつもの画面
- いつもの会話
これは悪いことではありません。日常業務を回すには、むしろ必要です。ただし、問題があります。
省エネは、同時に「思考停止」と紙一重です。
「最近なんとなく提案が似ている」
「会議で新しい視点が出ない」
「同じ問題を何度も繰り返している」
こういう時、能力不足ではなく、環境の固定化が原因になっていることがよくあります。
2. 移動すると、“検索では出てこない情報”が入ってくる
いまは何でも検索できます。AIでも要約できます。でも、それでも取れない情報があります。それが、現場の空気です。たとえば――
- 店の前を通る人の速度
- 工場の音・匂い・動線
- オフィスの掲示物の雰囲気
- 現場の人の表情
- お客様の「言葉になる前の違和感」
こういうものは、資料にも議事録にも残りません。でも、意思決定にはめちゃくちゃ効きます。つまり移動は、情報量を増やす行為ではなく、情報の“質”を変える行為なんです。
MRDの仕事でも同じです。ホームページ改善でも、採用でも、広報でも、机上で考えた正解より、現場で拾った違和感の方が当たることがある。むしろ、その方が多いです。
3.移動は、視点の固定を壊してくれる
人は、自分のいる場所からしか世界を見られません。
経営者は経営者の景色。
現場は現場の景色。
求職者は求職者の景色。
お客様はお客様の景色。
問題は、どの景色も「正しい」ことです。だから噛み合わない。ここで効くのが、移動です。
- 経営者が現場へ行く
- 制作側が営業同行する
- 採用担当が学生の動線を見る
- デザイナーが店舗前で立ち止まる
このとき初めて、「伝えたつもり」「わかるでしょ」「普通こうだよね」が崩れます。そして、崩れた後にやっと、伝わる言葉・伝わる設計・伝わる導線が作れるようになります。
4.移動しない会社ほど、“自社基準”で行き詰まる
移動しない会社は、だんだんと市場ではなく、自社の都合で判断する会社になっていきます。
- うちでは昔からこう
- お客さんもたぶんそう思ってるはず
- 若い人は根性がない
- 最近は問い合わせの質が悪い
こういう言葉が増えてきたら、危険信号です。原因は、相手が悪いというより、相手の現実を見に行っていないことが多い。
移動しないと、仮説が更新されません。仮説が古いままだと、施策がズレます。施策がズレると、結果が出ません。結果が出ないと、さらに内向きになります。このループは、地味ですが強烈です。
5.移動は「発想力」ではなく「組み合わせ力」を増やす
よく「移動するとアイデアが出る」と言います。これは正確には、移動すると突然天才になるのではなく、別の文脈が頭に入って、組み合わせが起きやすくなるからなんだそうです。
- 寄席で見た“間”が、営業トークに効く
- 電車の混雑体験が、導線設計に効く
- 飲食店の接客が、採用ページの言葉に効く
- 工場見学の動線が、Webの情報設計に効く
つまり移動は、インプットのジャンルを増やして、仕事に転用できる素材を増やす行為です。これが「一次情報を拾いに行く」に近い感覚です。
6.経営者にとっての移動は、“現実に触れる時間”でもある
経営者は、予定も判断も多い。だからこそ、画面の中だけで仕事が成立しやすい。でも、画面の中は便利な反面、都合のいい情報だけで世界を作れてしまうという怖さがあります。移動すると、良くも悪くも、現実にぶつかります。
- 人が来ている店/来ていない店
- 活気のある職場/沈んだ職場
- 伝わる看板/埋もれる看板
- 採用できる会社/できない会社
この「現実との接触」は、ときに耳が痛いです。でも、ここからしか戦略は磨かれません。移動は、経営判断の精度を守るための習慣でもあると思います。
7.まとめ|移動は、仕事の“解像度”を上げる最短ルート
移動することは、単なる気分転換ではありません。それは、
- 情報の質を変え
- 視点の偏りを壊し
- 言葉を具体化し
- 判断を更新する
ための行為です。言い換えると、移動とは「見に行くこと」ではなく、「思い込みを壊しに行くこと」。MRDが大事にしているのも、ここです。
デザインも、Webも、採用も、広報も。机の上だけで整えることはできます。でも、成果につながるかどうかは、現実に触れているかで変わります。だからMRDは、つくる前に見ます。聞きます。歩きます。現場の空気を拾って、課題の解像度を上げてから設計します。
もし今、「いろいろやっているのに反応が薄い」「言っていることは正しいはずなのに伝わらない」そんな感覚があるなら、施策を増やす前に、まず一度。
“移動”してみる。
そこに、次の打ち手のヒントがあるかもしれません。

本日のMRD通信は、「移動することは、人生の基本動作なのでは?」というお話でした。
