採用が難しい時代。「求人広告が高い」「応募が来ない」。今回のMRD通信も、あまり見たくない・見ようとしないと見えない部分を可視化してみたいと思います。それは
営業が1人欠けた状態が、1か月続くと、会社の粗利はいくら消えるのか?
“採用はコスト”と思っていると、この問いが抜け落ちます。実際に痛いのは、求人にかける費用ではなく粗利の漏れだからです。営業が1人欠けるとどれだけ「粗利が漏れるか」を、シンプルな仮定で“見える化”してみました。

目 次
ステップ1:営業1人あたりの「年間粗利」を仮定してみます
まずはモデルケースとして、次のように仮説を立ててみます。
- 営業1人あたりの年間人件費(社会保険料込み):600万円と仮定
- 人件費は粗利の50%が目安 → 営業1人あたりに必要な粗利:600万円 × 2倍 = 1,200万円/年
このとき、営業1人は「年間1,200万円の粗利」を会社にもたらしている前提になります。
ステップ2:1か月あたりの粗利で見える化してみます
年間1,200万円なら、1か月あたりの粗利はこうなります。
- 1,200万円 ÷ 12か月 = 100万円/か月の粗利。
つまり、「営業1人が欠けた状態が1か月続く」と、理論上は粗利100万円分の“稼げたはずの利益の設計図”が消えることになります。
ステップ3:“自社の数字”に変換してみましょう
上の数字はあくまでモデルケースです。なので、記事の中では読者が自社の数字で計算できるよう、次のようなフォーマットを提示すると、より身近に・確実に腹落ちしやすくなります。
- 営業1人あたりの年間人件費(A):__万円
- 人件費を粗利の何%とみるか(B):例)50%
- 営業1人あたりに必要な年間粗利:A ÷ B
- 1か月あたりの粗利:〔A ÷ B〕 ÷ 12
例:
- A=600万円、B=50%(0.5)の場合
- 年間粗利:600 ÷ 0.5 = 1,200万円
- 月間粗利:1,200 ÷ 12 = 100万円
ステップ4:求人費と“欠員の機会損失”を比較
さぁ、あなたの会社の営業1人あたりの『月間粗利』はいくらでしたか? 自社の数字を当てはめて考えてみてください。次に、「求人費」と「欠員1か月の粗利漏れ」を横に並べて比較します。
例として:
- 営業1人の採用にかかる広告費・紹介料など:80〜150万円(中途採用1名あたりの総コストが数百万円規模になるケースもある)
- 一方、営業1人が生む月間粗利:100万円(先ほどのモデル)
ここで伝えたいのは、「求人広告が高い」のではなく、「欠員期間のほうがよほど高くついている」可能性が高い、という点です
例えば、
- 採用コストに200万円かかるが、その営業が年間1,200万円の粗利を生むなら、採用 ROI(Return on Investment|投資利益率。投資した費用に対してどれだけの利益が得られたかを割合%で示した指標)は600%になる、という試算もあります
採用費は“コスト”ではなく、“粗利を取り戻すための投資”です
冷静になって考えてみてください。採用費は“コスト”ではなく、欠員で漏れている粗利を止血して取り戻すための投資です。
たとえば営業欠員が1か月で粗利120万円(仮定)漏れているなら、採用に30〜80万円かけても、回収対象が先に存在しています。
また、採用費を「高い」と感じるのは、採用費だけを見て、欠員で消えている粗利(毎月の漏れ)を見ていないからです。
採用の意思決定は「安いか高いか」ではなく、回収できるか/回収速度はどれくらいかで判断すべきです。
採用費の上限は、感覚ではなく計算で決められます。目安は、月の粗利漏れ × 何か月で埋めたいかです。欠員が月120万円の粗利漏れなら、2か月で埋めたい場合、採用投資の上限目安は 240万円(仮定)になります。
つまり採用費は「出費」ではなく、粗利の漏れを止める修理費なのです。修理を先延ばしにすると、漏れ続けます。
それに採用で得たいのは“人”ではなく、粗利が漏れない状態です。人が入ることで回復するのは、売上より先に粗利です。求人広告(求人活動)をケチって欠員が長引くと結果的に、採用費を節約した以上の粗利を失うことがあります。
採用は「いつか人が来ればいい」ではなく、粗利の漏れをいつ止めるかのタイミング投資だからです。経営としては、採用費を削るより、まず欠員で漏れている粗利を把握し、“回収できる投資”として予算化する方が合理的ではないでしょうか。

採用費という出費が怖いのではなく、本当に怖いのは、欠員で毎月消えている粗利を“見ないまま”にしてしまうことです。
必要なのは、派手な施策より、地味だけど効くこの3点
営業欠員の問題は、求人媒体を変えれば解決する話ではありません。本質は、営業が入っても回る・辞めても崩れない状態を設計できていないことです。
そこで必要なのは、派手な施策より、地味だけど効くこの3点。
- 募集要項を編集する(誰に、何を、どんな順で任せるかを言語化)
- 応募導線を短くする(相談→面談までの摩擦を減らす)
- 会社と仕事が“見える”材料を揃える(事例・提案の型・社員ストーリー)
AI時代は、作るだけより、編集して運用できる会社が信頼を獲得します。MRDの場合、ここを丸ごと「設計して、編集して、回る形にする」までが仕事です。
