自社の商品を売るために、より良い優れた商品を作って売ろうという(言葉は悪いですが安直な)マーケティング手法が「プロダクト・マーケティング」。その対極(正確には、ワンランク上の階層に位置する)にあるのが、『コーポレート・マーケティング』です。
コーポレート・マーケティングとは、自社の商品やサービスをもってお客様に尽くす・貢献する・お客様のためになることをするという考え方です。お客様の価値向上・生活向上を第一義に考え、その結果としての企業価値(企業ブランド)向上を目的とします。
企業の利益が社会(お客様全体の利益)の利益になるという考えですが、最近良く耳にする「CSRマーケティング」と似ています。似ていますが、決して同じではありません。「社会的責任」と「企業がそもそも掲げる根本理念・事業の発端」をイコールとみなすことは難しいからです。
重要なのは、通常の商品やサービス、通常の営業活動が会社の利益を生み、ひいてはそれが社会の利益になるという点です。本業は本業、CSRは CSRという、表層的な考えでは決して成り立ちません。環境保全などの活動は、免罪符的な意味合いが強いと思われます。あくまでも、日常的な業務=企業の利益=社会の利益となってはじめて、『コーポレート・マーケティング』です。
近江商人の考え「三方よし」の21世紀バージョンこそが、コーポレート・マーケティングではないかと考えています。
※三方よし:近江商人の経営理念。三方とは売り手・買い手・世間のことです。
商取引においては当事者の売り手と買い手だけでなく、その取引が社会全体の幸福に結びつくものでなければならないという意味。
そのため、時として、現代におけるCSRと結びつけて捉えられる向きもあるようですが、MRDとしては近江商人の考え「三方よし」の21世紀バージョンこそが、「コーポレート・マーケティング」ではないかと考えています。