漁師さんの履いたデニムが売れる
今月は今話題の広島県尾道市「尾道デニムプロジェクト」を取り上げます。これは『ディスカバーリンクせとうち』という団体が行う、地域活性化策、新産業創出、新市場創出策です。一言でいうと、履き古したデニム(要するにジーパン、ジーンズ)の販売です。2万2千円の新品デニムを漁師さんが1年間履いたら、4万2千円の中古デニムに大変身。“味が出た1点もの”のデニムは、全国のファンを惹きつけ、飛ぶように売れているのだそうです。
ましさく、利・デザイン!
尾道市を含む中国・備後地方は日本有数のデニム生地の産地。そんな地で4年前にスタートしたのが「尾道デニムプロジェクト」。企画運営は『ディスカバーリンクせとうち』。地域資源を「リ・デザイン」した、とても素敵なまちおこしであり、産業創出です。
手間暇かけて製品化
地元で働く様々な職業の方々に地元産デニムを無料貸与し、1年後に回収して販売ルートに乗せるというビジネスモデルです。貸与したデニムは1週間使用するごとにプロの手による洗濯が行われて、それを繰り返すことで、味を出すのです。
新品にはだせないストーリー性
ここで販売するデニムにはすべて以前履いていた人物の職業が明記されています。漁師さんだけではなく、大工・住職・農家など様々な職業の人たちに履いてもらっています。履き続けたことで得られる癖・型・色落ち具合は、職業によって異なるそうです。そこが魅力。職業ごとに異なる色の落ち方や雰囲気が唯一無二の個性となり、リアルな“味”となり、新しい卸したての商品にはない“ストーリー”が植え付けられ、そこが魅力=価値=値段になっていきます。同じ商品は2つと生まれないのですから。
高くても売れる。唯一無二だから
そんな手間暇をかけて誕生した尾道デニムは当然、新品よりも高い価格です。決して安くはありません。しかし売れています。県外から買いに来るお客様も後を絶たないのだとか。域外からの人を呼び寄せる力があるのも素晴らしいコトです。これぞ、まちおこしです。産業が生まれなければ、域外収入が得られなければだめなのです。素晴らしい成功例です。
地域特性を生かした町おこしを
しかし「よし、うちも漁師町だ。デニムを履かせよう」と思うのは間違い。成功事例を真似するのは、そこではありません。真似すべきは「その地方ならではの地域資源を活かして、ビジネスを興す」という考え方の部分です。何と何をマッチさせてビジネスモデルを創るかは、そこはアイデアです。単なる観光客集めでもダメです。収益にしなければダメです。三方良しにならなければダメです。MRDでは、その点を意識した魅力的なご提案ができます。(終)
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