企業のホームページ。古いまま、放置しているところがあります。
古いままでもOKと思っているかもしれませんが、それ、損失です。計算してみました。年間売り上げ:5,000万円の企業規模の場合の仮説ですが、これが1億でも3億でも損失の本質は同じはずです。
具体的な推計のために、CVR(コンバージョン率)平均・流入数・競合比較・現実的なリニューアル効果を掛け合わせて算出してみました。

失われる機会と、その数値根拠
- BtoB事業の場合、サイト経由の新規リード獲得率(CVR)は平均0.5~2%程度が目安です。業界によっては「3%超」も十分あり得ます。
- サイトをリニューアルすることにより、お問い合わせ・申込数が2~4倍に増加するケースが多く、CVRでは2倍~4倍向上、PV数では3~4倍、売上換算では年500~1,000万円程度増加した実例が複数存在します。
- 一方、古いままだと検索順位が下がり、流入数も減少し、競合への顧客流出率が高まります。特にスマホ非対応や「何年も更新なし」な状態では、信頼低下に加え、見込客を逸してしまうことが明確です。
放置シミュレーション例
この表は、ホームページを改善せずにそのまま経営を続けた場合のデメリット額(損失額)のシミュレーションしたものです。
デメリットの計算ポイントは主に次の4つです。
- ユーザーや見込み客の信頼低下、問い合わせ数・受注数の減少による機会損失・離脱増
- 検索順位や流入数低下から、本来獲得できたはずの見込み客を競合サイトへ奪われる損失
- お問い合わせ・申込フォームの導線悪化によりCVRが下がり、直近売上が減少
- ブランド劣化や信頼性の失墜による間接的な受注減
項 目 | 古いサイト | 放置後 | 差 額 |
月間流入数 | 500 | 350 | 30%減 |
CVR(問い合わせ率) | 1.0% | 0.5% | 50%減 |
問い合わせ数 | 5 | 1.75 | 65%減 |
受注転換率 | 20% | 15% | 25%減 |
年間受注数 | 12 | 3 | 75%減 |
平均単価 | 417万円 | 417万円 | ±0 |
年間売上 | 5,000万円 | 1,260万円 | -3,740万円(75%減) |
※ 小規模・中小企業の実態調査によると、年間受注件数は多くの企業で「1~5件程度」が最も多く、次いで「6~10件程度」が一般的です。これを踏まえ、年間受注件数を控えめに設定しました。
解 説
- 改善されない場合、訪問者数は30%減少し、問い合わせ率も大幅に低下すると仮定しました。
- これにより年間受注数は75%減少。平均単価は売上÷受注件数から計算した金額を使用しています。
- こうした減少による売上機会損失が年間約3,740万円規模になる計算となっています。
- この損失は直接の売上減少だけでなく、長期的なブランド信用低下や競合に顧客を奪われるリスクも内包しています。
古いままのホームページから訪問者が減る理由
① 訪問者の信頼喪失・離脱増加
- SSL未対応やセキュリティ更新の怠りで閲覧者が不安を感じ、問い合わせや購入をためらいます。
- Googleなどの検索エンジンに安全でないサイトと判断され、検索順位が下がり、訪問者そのものが大幅に減少します。
- 実際に、多くの企業でホームページ改ざんや情報流出事故に起因する信用失墜で顧客離れが起きています。
② SEO評価の低下による新規顧客流入減少
- 古いデザインや使いにくい情報設計はユーザー体験を損ない、問い合わせ率や成約率が下がります。
- サイトがモバイル非対応だと、スマホ利用者の大半に閲覧を拒否されます。
③ 問い合わせや受注率の低下
- SSL未対応やセキュリティ更新の怠りで閲覧者が不安を感じ、問い合わせや購入をためらうことになります。
- Googleなどの検索エンジンに安全でないサイトと判断され、検索順位が下がり、訪問者そのものが大幅に減少します。
④ サイバー攻撃被害リスクの増大
- CMSの脆弱性放置などによるホームページ改ざん事件が後を絶ちません。中小企業でも被害が増加しています。
- ランサムウェア感染(最近ではアサヒビールや角川等)などで事業停止や信用毀損が長期間続き、多額の損失が発生するケースもあります。

このようにホームページ放置は目に見えない形での営業機会の損失、売上減少、信用喪失に直結し、経営の重大なリスクとなります。更新・改善は単なる見た目の刷新だけでなく、経営リスク対策としても不可欠です。
具体的な損失と要因
- BtoBサービスの場合、資料請求や問い合わせを逃すだけで、年間数十件~数百件の機会逸失となり、売上規模で数百万~千万円単位になり得ます。
- 年間5,000万円を売り上げる規模の企業で、ウェブサイト経由の新規獲得比率が10~30%の場合、サイトが古いままでは「最低でも500万円前後、多ければ1,500万円以上」の逸失が発生し得ます。
- 実際のCVRや競合流出率・改善後効果は、さらに細かく試算できるため「サイト状態診断」「CVR改善シミュレーション結果」が必要ですが、現代の標準で考えるとリニューアルしないことで年商の10~30%以上も喪失する可能性があり、これはかなり現実的です。
リニューアルした場合の期待数値
- 一方で古いサイトをリニューアルした場合、次の表のような効果が期待できます。
- このように受注件数をかなり抑えめにしても、ホームページのリニューアル効果による問い合わせ増加と売上向上のインパクトは非常に大きいことがわかります。
項 目 | 古いサイト | リニューアル後 | 差 額 |
月間流入数 | 500 | 1,000 | +500 |
CVR(問い合わせ率) | 1.0% | 3.0% | +2.0pt |
問い合わせ数 | 5 | 30 | +25 |
受注転換率 | 20% | 25% | +5pt |
年間受注数 | 12 | 30 | +18 |
平均単価 | 417万円 | 417万円 | ±0 |
年間売上 | 5,000万円 | 1億2,510万円 | +7,510万円 |
これはあくまでモデルケースですが、こうした数値比較で「リニューアルにかかる費用と得られる効果」を検証して、投資判断を行うのが重要です。
※ 上記は複数事例・業界平均値を基にしたモデルケースです。現実には「サイト経由比率」や実商談単価に左右されますが、実際に売上増(損失補填)が「数百万円~1,000万円超」になるケースも珍しくありません。
結 論
年間売上5,000万円規模の企業がホームページを古いまま放置している場合の年間損失額は
「最低でも500万円、多ければ1,000万円~2,000万円近く」